研究課題/領域番号 |
25780045
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
渡邊 一弘 専修大学, 法学部, 准教授 (90449108)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 死刑 / 無期懲役 / 量刑 / 少年法改正 |
研究実績の概要 |
平成26年度に取り組んだ主な研究内容としては、当初の予定の通り、平成25年度に取り組んだ死刑適用基準に関する研究を引き継ぎ、裁判員制度施行以降の死刑判決と無期懲役判決を収集し、調査票に記入し、分析用のデータベース作成に取り組んだことが挙げられる。 また、平成26年度には、本研究の研究目的に関わる無期刑のあり方についての理解が問われる少年法改正が行われたことを受け、平成26年改正少年法における「無期刑の緩和」および「無期刑の緩和刑」を中心に検討を行った。 平成26年改正少年法については、少年刑をめぐる制度全体のバランスを確保することが改正理由として示されていたことをふまえ、少年法の理念をふまえた体系的理解という観点から、年長少年に対する死刑の適用基準、死刑の減軽としての無期刑、無期刑の緩和刑としての不定期刑を総合的に分析し、少年法における無期刑の位置づけについての再検討に取り組んだ。この検討は、今後少年刑体系における無期刑の量刑基準の研究に取り組むに際し、重要な基礎研究となるものと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初より予定していた裁判員裁判における死刑判決と無期懲役判決の収集および調査票記入作業については、おおむね順調に進展している。 しかし、平成26年度は、研究計画作成当時想定していなかった平成26年度少年法改正における「無期刑の緩和」および「無期刑の緩和刑」についての研究に多くの時間を費やしたため、当初予定していた裁判員制度施行以前の長期有期懲役刑判決の収集作業については、少し進展が遅れることとなった。 本研究の研究目的である「無期刑の位置づけ」を検討するという趣旨においては、少年刑における死刑緩和の特則についての研究を深めることが出来たことから、より多角的に研究を進められており、平成26年度の作業の遅れについても、27年度からの作業への組み込みで十分対応できる程度のものであり、研究計画全体の進展に対する影響は大きいものではない。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、まずは裁判員制度施行前の長期有期懲役刑判決の収集に取り組み、調査票への入力の後、裁判員裁判施行以前の「無期懲役と長期有期懲役刑との量刑基準」について、多変量解析の手法を用いた客観化に取り組む予定である。 これに加え、対象判例数がいまだ限られるとは思われるが、裁判員裁判施行後の長期有期懲役刑判決の収集にも取り組み、並行して取り組んでいる「裁判員裁判施行後の死刑と無期懲役の適用基準」において収集した無期懲役判決を用いた量刑傾向の分析にも取り組む意欲を有している。 平成28年度には、これまでの研究をまとめ、総括を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成25年4月からの所属校変更に伴い、当初予定していた移動交通費を大幅に削減することが可能となった。 また、申請段階においては、東京在住の大学院生などに作業補助を依頼する予定であったが、所属大学異動により、申請者が自ら作業を行うことが可能となり、平成26年度についても当初予定していた支出を抑えることが可能となった。 しかし、申請段階では予定していなかった少年法改正などの事態が生じたため、研究の必要上、この問題に関連する資料収集が必要となり、その分物品費での支出額が増加した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度についても、現在の所属校において利用できるPCソフトなどの統計機材などを確認の上、機材の不足が見られる場合においては、新規購入等の対応が必要となる。 また、本年度も平成26年と同様に、所属校異動により申請者自身が資料収集作業に従事することが可能となったため、旅費や謝金の支出が当初の予定より抑えられる見込みである。
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