研究課題/領域番号 |
25780046
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
丸橋 昌太郎 信州大学, 学術院社会科学系, 准教授 (60402096)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 通信傍受 / 会話傍受 / 秘匿捜査 / 令状主義 |
研究実績の概要 |
26年度は、前年度の基本法の構造研究を踏まえて、イギリスの通信傍受のうち、通信傍受の合憲性(違法性)、通信傍受によって収集された証拠の利用に関する事例分析した。イギリスに短期間渡航し、事例・文献収集を行うとともに、関係者からヒアリングを実施した。 通信傍受の合憲性として、いずれの捜査手法についても司法審査がないことについて、EU人権条約適合性について争われた事例について分析を進めて、また証拠の利用制限については、議会資料等に当たり、法令の生成過程の研究を進めた。イギリスにおいて、通信傍受の成果の証拠としての利用を制限する目的は、1950年代から一貫して、捜査の有効性を損ねることに求められており、現在でもなお維持されていることがわかった。 イギリスの研究成果を踏まえて、特に会話の傍受に関するわが国の議論を整理して、会話の傍受の法的性質の判断基準、通信傍受との差異、検証令状によることの可否について検討を加えた。会話の傍受に関するわが国の議論として、法制審特別部会の議論の過程を整理・検討を行った。法的性質の判断基準については、一律の判断ではなく、場所ごとの判断になるべきことをイギリス法の示唆から導いた。強制処分とされる会話の傍受について、通信傍受について検証令状によって行うことを認めた最高裁判例にもとづき、会話の傍受ができるかを詳細に検討した結果、結論的には可能であるとの帰結を導いた。 以上の成果については、脱稿済みである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画通り、研究を進めることができ、またその成果を公表(脱稿)する段階に至ったので、当初以上に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
研究計画書のとおり、イギリスの秘匿捜査の理論について包括的に研究を進めて、わが国の秘匿捜査の理論についてまとめあげる予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
予定していた研究打ち合わせのための出張について、日程調整がつかなず、次年度に延期したことにより、次年度使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
昨年度行う予定であった研究打ち合わせを今年度中に行う。次年度使用額は、平成27年度請求額とあわせて使用する。
|