通信・会話の傍受を中心とした秘匿捜査の規律の構造について、イギリス法を参考に、わが国における規律の構造を197条Ⅰ項に即して、適法捜査担保型の理論として新しく提唱した。適法捜査担保型の理論とは、事前に要件を設定して、これを担保する仕組みによって、捜査を統制しようとするものである。従来の捜査の適法・違法基準は、執行時の比較衡量に委ねる仕組みであったが、同理論では、事前の要件設定を可能とする点に優位性がある。 また欧州人権裁判所の議論を参考に、法律上の根拠の要否と、司法審査の要否について区別されるべきことを明らかにして、それぞれ具体的な基準を提示した。
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