研究課題/領域番号 |
25780048
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
佐川 友佳子 香川大学, 法学部, 准教授 (10555353)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 越境犯罪 / 組織犯罪 / 裁判管轄 / 国際犯罪 |
研究概要 |
2013年度は、EU圏内の越境犯罪に対する法的整備、組織的連携等について検討するため、特にこの点で議論の蓄積があるドイツ国内での資料収集、調査を行った。国境を越えるような犯罪の場合、刑法のみならず手続法上の整備が効果的な対策を講じる上で非常に重要となるため、刑法学者も、非常に手続的な制度の構築に関心を抱いている。そこで次年度以降も、その点を踏まえて研究を進めていく予定である。 また他のEU諸国の動きも重要であることから、フランス刑法を専門とされている九州大学の井上宜裕准教授より、フランスの現状についてもうかがい、特に、実体法に関する専門的知識の提供を受けた。フランスでは近時、国外犯に対する共犯について、従来の共犯論と整合性を持ちうるのかとされるような規定が置かれることとなり、このことは、EUレベルでの議論と国内法の整備との調整の困難性を窺わせる、とのことであった。 3月には、従来より連携して研究活動をしているDr. Liane Woerner(ギーセン大学助教)を招聘し、香川大学などで、越境犯罪の裁判管轄、テロ行為等、本研究課題に関連するテーマについて、講演会を実施した。特に越境犯罪の場合の複数国の裁判管轄が問題となる事例をどのように調整していくのかが喫緊の課題であって、国内法については理論的な基礎付けを進めつつ規定の再検討をすべきであると当時に、国外の組織(欧州警察機構、欧州検察機構等)との連携を整備すべきであるとのことであった。 以上の研究成果は、今後刊行される紀要等に順次掲載していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、研究課題について議論が進んでいるドイツの状況をある程度明らかにすることが出来たのみならず、フランスについてもある程度の知識を得ることができた。また、ドイツの研究者を招聘して、実際にこの問題について深く議論し、今後の国外の研究者との協力関係についても示唆を得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
従来の研究方針を基本的に継続しつつ、国外の研究者との連携を上手く取りながら、最新の議論の成果を得られるようにつとめたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
ドイツからの研究者招聘が当初予定(2014年度)されていたよりも早まったため、前倒し請求を実施したが、当該研究者が3月末~4月上旬までの日本滞在となったため、4月滞在と旅費の費用を、次年度分に繰り越した。 繰り越し分の10万円は、研究課題のために招聘したドイツ研究者の4月上旬の日本での滞在および旅費として使用した。
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