申請者は,本計画期間内に産前・産後休暇,育児休業を取得し,平成27年10月1日より復職・研究再開した後,育児のため研究の進捗は計画よりも若干遅れたものの,育児と研究の両立に努めている。 本年度は,研究成果を,拙稿「供述拒絶権の告知時期に関する一考察――ドイツにおける「被疑者」概念をめぐる議論を手がかりに」として著し,『浅田和茂先生古稀祝賀論文集』(成文堂,2016年)に掲載した。 さらに,次年度以降への研究展開・準備として,平成28年度に,科研費・若手研究(B)「刑事司法の機能性を理由とする手続権制約の許否-迅速性要請の意義の解明」に応募した(平成29年度採択)。その研究の端緒として,刑事訴訟法研究者や実務家が参加する学外研究会である大阪刑事訴訟法研究会「井戸田侃先生 米寿祝賀会」(平成28年11月12日)において,「『迅速な裁判の要請』の意義」をテーマに研究報告を行った。また,また,クラウス・ロクシン=ハンス・アッヘンバッハ『ドイツ刑事訴訟法演習―君の知識を試そう・第16版』の共同翻訳に参加し,ドイツにおける迅速性要請の箇所も担当した(2017年3月出版)。 その他の研究成果の市民への発信として,平成28年度は,高津高校2年生6名による研究室訪問(平成28年7月12日実施)を受け入れた。平成27年度と同様,映画「それでもボクはやってない」(周防正行監督)を用いた事前課題を添削を行うとともに,当日は「刑事裁判の目的とは何か」についてレクチャーを行うとともに,質疑応答を行った。なお,近年の刑事訴訟法改正に関しても言及した。
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