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2014 年度 実施状況報告書

民事法学における実証分析の活用:政策評価と損害賠償額算定

研究課題

研究課題/領域番号 25780057
研究機関東北大学

研究代表者

森田 果  東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40292817)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード実証分析 / 公共政策 / 法の経済分析 / 実証法学
研究実績の概要

本研究は,データに基づいた実証分析の民事法学における活用を2つの方向から探究する。第一に,法ルールは,何らかの社会目的を実現するための手段としての性格を持つ。そこで,データに基づいて当該目的の達成の有無を評価すれば,解釈論・立法論に対する客観的な基盤を提供できる。かかる政策評価は,日本ではほぼ皆無であり,必要性・重要性が高い。第二に,裁判実務における実証分析の活用を探究する。具体的には,損害賠償額算定のための新たな視点の提供を試みる。損害賠償額算定は,従来,法学研究でも法と経済学でも不十分だった。本研究は,計量経済学を活用した算定手法の基礎の確立を試みる。
本年度は,データベースの構築の他,実証分析のための方法論を深める成果を公表することができた。研究成果のうち,図書『実証分析入門――データから「因果関係」を読み解く作法』は,そのような成果である。本書は,法律家・法学者のみならず,経済学者やその他の社会科学分野においても,有益な解説が展開されていると評判である。
さらに,構築したデータベースを元にした分析結果について,国際学会Canadian Law and Economics AssociationおよびAsian Law and Economics Associationにアクセプトされ,これを報告することができた。これらの学会では,各国の研究者から有益なフィードバックを得ることができた。公表論文"Reforms of Japanese Corporate Law and Political Environment"は,これらの報告の一部をまとめたものである。また,環境法の分野における実証的手法の利用の意義と限界に関する「環境損害の算定」(本論文に基づいて学会報告もしている),法の経済分析の意義に関する「法の実現手法――経済学的考察――」も公表できた(いずれも図書)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は,データに基づいた統計的(定量的)な実証分析であるため,①データベースの構築,および,②当該データベースに基づいた統計的・理論的分析の二段階を経る。平成26年度は,前年度までの①データベースの構築を継続しつつ,進捗状況に応じて,②データベースに基づいた統計的・理論的分析も行うのが当初の予定であった。
データベースの構築は順調に進んでおり,それらに基づいた分析結果についても,複数の学会報告および論文として公表することができており,おおむね順調に進んでいると評価できる。

今後の研究の推進方策

平成27年度以降も,引き続き①データベースの構築,および,②その統計的・理論的分析を行うが,重心は②に移っていく。
データベースの構築については,データの入手に制約が見られる場合には,それをあきらめ,より理論的な方向へと研究の重心を移していくことも検討する。
研究成果の公表による社会へのフィードバックについては,本研究は,国内のみならず国際的にも独創的で有益な研究活動であるので,国内の雑誌等での成果公表のみならず,国際的なジャーナルに研究成果論文を投稿し,国際的に研究成果を公表していくことにつとめる。国際ジャーナルでの成果公表が,理論的な側面を中心とするのに対し,国内での研究成果公表は,より実践的な政策インプリケーションにより重点を置いた形にすることで,社会的な貢献度を高める予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] Reforms of Japanese Corporate Law and Political Environment2014

    • 著者名/発表者名
      Hatsuru Morita
    • 雑誌名

      Zeitschrift fuer Japanisches Recht/Journal of Japanese Law

      巻: 37 ページ: 25-38

    • 査読あり
  • [学会発表] Corporate Law Reform and Political Environment: An Empirical Analysis Employing Public Comment Procedure Data2014

    • 著者名/発表者名
      Hatsuru Morita
    • 学会等名
      Canadian Law and Economics Association 2014 Conference
    • 発表場所
      Tronto (Canada)
    • 年月日
      2014-09-20 – 2014-09-20
  • [学会発表] Corporate Law Reform and Political Environment: An Empirical Analysis Employing Public Comment Procedure Data2014

    • 著者名/発表者名
      Hatsuru Morita
    • 学会等名
      The 10th Annual Conference of The Asian Law and Economics Association
    • 発表場所
      Taipei (Republic of China/Taiwan)
    • 年月日
      2014-06-20 – 2014-06-21
  • [図書] 実証分析入門――データから「因果関係」を読み解く作法2014

    • 著者名/発表者名
      森田果
    • 総ページ数
      328
    • 出版者
      日本評論社
  • [図書] 商事法の新しい礎石 落合誠一先生古稀記念2014

    • 著者名/発表者名
      森田果,飯田秀総,小塚荘一郎,榊素寛,髙橋美加,得津晶,星明男
    • 総ページ数
      994(551-590)
    • 出版者
      有斐閣
  • [図書] 岩波講座 現代法の動態 第2巻 法の実現手法2014

    • 著者名/発表者名
      森田果,佐伯仁志,新田一郎,窪田充見,中川丈久,弥永真生,山川隆一,岩佐嘉彦,大塚直,森肇志,山本和彦,笹倉宏紀
    • 総ページ数
      359(51-74)
    • 出版者
      岩波書店

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公開日: 2016-06-01  

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