研究課題/領域番号 |
25780071
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
牧 真理子 大分大学, 経済学部, 准教授 (60648054)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 組織再編 / 会社分割 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、前年度に引き続き日本法およびドイツ法の文献調査を行い、本研究の対象である詐害的会社分割から、組織再編についてより体系的に研究を進めた。 本研究の対象は、民法、訴訟法および倒産法との関連が強い。日本では、平成26年改正会社法において組織再編行為等の差止請求規定が新設されたが、当該請求権の行使が仮処分申立事件としてされる場合の効果について、組織再編無効の訴えとの関連が問題となりうるところである。平成26年度は、これとの比較対照として、ドイツにおける組織再編の効力を争う訴えについて、ドイツ組織再編法および株式法の規定を分析し、その機能について検討した。その結果、ドイツの組織再編法制は、組織再編無効の訴えという事後的な解決手法を有せず、組織再編に係る株主総会決議の効力を争う訴えを事前の差止め制度として機能させ、組織再編を早期に安定させることを目指し、組織再編の効力発生が事後的に阻止されないようにしており、わが国とは全く異なる法状況であることが判明した(この成果は、論文集『ドイツ会社法研究』所収の論稿「組織再編に係る決議の効力を争う訴え」(平成26年度内脱稿済)で公表する。)。 この成果は、上記の日本法における差止請求規定の機能を検討する際にも一助になると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
組織再編全般の規定の研究および訴訟法分野との交錯について一定程度の調査を終えることができた。民法および倒産法との交錯の研究については進捗状況は十分とはいえないが、最終年度において挽回する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる平成27年度においては、詐害的会社分割の「害する」の意味について、(1)民法上の詐害行為との関係、(2)倒産法上の偏頗行為との関係から検討を深める。本研究を開始後、多くの詳細な先行論文が現れているため、それらを詳細に検討するとともに、ドイツ法からの知見を参考にして研究を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費について7万円弱の次年度使用額が発生した。これは、研究計画に従い必要となる外国文献の選定について慎重に検討し、最新の文献を今年度購入する計画を立てたためである。旅費について3万円強の次年度使用額が発生したが、これは諸般の事情により出張回数を抑制したためである。
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次年度使用額の使用計画 |
物品費については、平成27年度の研究に必要となる文献購入費の一部にあてる。旅費については、最終年度の研究を取りまとめるに必要なインタビューおよび調査のための旅費の一部として使用する予定である。
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