研究課題/領域番号 |
25780075
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
羽生 香織 上智大学, 法学部, 准教授 (30547279)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 嫡出推定 / 父子関係 / 血縁 / DNA鑑定 |
研究実績の概要 |
今年度の課題は、民法(親子関係法)と血縁との関係性をいかに構築するかを明らかにすることであった。 第一に、今年度前半は、平成25年度の研究成果をもとに、「現代家族の特異性と普遍性」をテーマに8月6-11日にブラジルで開催される国際家族法学会(ISFL)世界大会での研究報告を行う予定であったが、校務のため参加することができなかった。しかし、国内では、最高裁判所において嫡出推定制度や認知制度に関する重要な判断が続いた(最一小判平成26年7月17日、最三小判平成26年1月14日、最三小判平成25年12月20日)。これらの判例を素材として、本課題の軸となる課題である伝統と現代との調和について検討することができた。 第二に、今年度前半での考察に基づいて、後半は、国内において、学際的な場だけでなく市区町村の戸籍事務従事職員を対象とする研修会等で報告する機会を得た。これにより、他分野の研究者やいわゆる「300日問題」に係わる戸籍実務の現場、当事者等から貴重な意見や示唆を得ることができた。 第三に、次年度の課題は、現行民法の規定をどの程度維持すべきかを明らかにすることとしている。次年度の課題を視野に入れ、嫡出推定制度が捉えた伝統的な親子関係を分析し、時代や社会の変化の中で現れた新たな親子関係を視野に入れた議論を展開するため、現行772条から見た生殖補助医療により生まれた子の親子関係について検討し、研究報告を行った。同分野の研究者からの客観的評価を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
校務のため国際家族法学会(ISFL)世界大会に参加できなかった。そのため、今年度前半において重点を置いていた、世界的な動向に照らして本研究計画の内容を評価するという研究計画を実行することができなかったことが悔やまれる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、現行民法の規定をどの程度維持すべきかを明らかにすることを課題としている。これまでの研究の方向性は定まっているが、最終年度のまとめに際し、同分野のみならず他分野の研究者からの客観的評価を得ることが必要であると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度は、嫡出推定制度の本質を解明する。そのために、これまでの研究において欠如している部分や視点がないかを再確認した上で、これらを補うべく資料収集を行ない、整理、分析する。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は主に資料収集に使用する。特に、最新の情報を得るため、フランスの法学雑誌(洋雑誌)を継続購入する。また、早期に、今年度の研究において特定された日本での入手が不可能な資料について、欧州での資料収集活動を行う。
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