研究課題/領域番号 |
25780075
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
羽生 香織 上智大学, 法学部, 准教授 (30547279)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 嫡出推定 / 父子関係 / 再婚禁止期間 / DNA鑑定 |
研究実績の概要 |
今年度の課題は、民法(親子関係法)と血縁との関係性をいかに構築するかを明らかにすることであった。 特に、最高裁大法廷平成27年12月16日判決は、「離婚した女性は6カ月間再婚できない」(民法733条)とする民法の規定を違憲と判断した。 今年度前半では、民法733条の規定について最高裁大法廷の判断が下されるとの報道があって以降、嫡出推定(民法772条)と深く関連する再婚禁止期間(民法733条)が注目された。すなわち、女性に再婚禁止期間を課すことで、女性が出産した子について父性推定が重複することを回避するためであるという。そこで、2004年に再婚禁止期間を廃止したフランス法の状況について検討した。日本法とは異なる出生主義および離婚制度を有するフランス法と単純に比較することはできないが、嫡出推定が排除される場合を法文中に明らかにすることで、前夫と現夫との父性推定の重複を回避する方策がとられている。 今年度後半では、日本法における、嫡出推定と婚姻との関連性に着目しながら、再婚禁止期間の位置づけについて検討した。嫡出推定は婚姻中懐胎であることを重視する。故に、婚姻成立後200日内出生子や離婚後300日以内出生子の父子関係が問題となる。最高裁大法廷は民法733条の規定の一部についてを違憲と判断したが、これを批判し、当該規定そのものを全廃すべきとの主張もある。しかし、現行の日本法下で、再婚禁止期間を廃止することは困難であろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度は最高裁大法廷判決を控え、嫡出推定と婚姻および再婚禁止期間との関連性に注目することとなった。その際に、再婚禁止期間を廃止した外国法において父性推定の重複をいかに回避しているのかという新たな視点を得た。故に、当初の研究実施計画をより深化させることができたが、反面で進行が遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、今年度の研究で得た新たな視点を加えた上で、嫡出推定制度の意義についてまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度は、これまでの研究を再度確認した上で、補足が必要な部分について資料収集を行い、整理、分析する。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は主に資料収集に使用する。今年度に得た新たな視点についての考察をより深化させることを目的とする。
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