本研究では、私人の行動の自由、表現の自由、教育・研究等の公益といった観点から、著作物の利用が自由に行われるべき領域を明らかにしつつ、創作のインセンティヴを確保するために、利用の自由を確保しながらも著作権者等へ対価還流を可能とするような方策を検討した。機器・媒体に課金する補償金制度や著作物の利用システム提供者への課金等による間接的な対価の還流方法は、技術や契約による直接的な対価の徴収に比べ、著作物利用への抑止効果が低いというメリットがあると考えられ、新しい著作権制度のあり方の一つの可能性として検討の余地がある。
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