研究課題/領域番号 |
25780086
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
伏見 岳人 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (20610661)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 日本政治外交史 / 立憲政友会 / 選挙戦術 / 地方利益論 |
研究概要 |
研究計画の初年度にあたる平成25年度には、当初の研究計画に基づきながら、各種の資料調査を順調に実施した。 近代日本における政党政治と地方利益論の展開を分析する基礎作業として、国立国会図書館の憲政資料室に所蔵されている明治・大正期の官僚・政治家の原資料を幅広く調査した。また明治後期から大正期にかけて東北地方に強い影響力を有した政治家である原敬の関係資料に着目し、岩手県図書館や町田市立自由民権資料館などに所蔵されている原資料も調査・収集した。また当該期間における東北地方の政治過程を分析する際には、中央政府での政策決定過程のみならず、各県・市町村レベルにおける行政の展開にも注視する必要があると考え、福島県歴史資料館などに所蔵されている県庁文書などの公文書の分析に着手した。 以上の調査実績を踏まえ、今年度には、近代日本の政党内閣確立過程を推進した主体である立憲政友会の動向に焦点を絞り、その設立初期における選挙戦術を分析した研究論文を発表した。日露戦争前の初期立憲政友会では、まだ後年のように原敬のリーダーシップは十分には確立しておらず、第七回総選挙に際しても東北地方の選挙区で、地方利益論を主張した支持基盤の拡大に必ずしも成功していないことを本論文では明らかにした。原敬の下で選挙実務を担当した政治家である伊藤大八を主な考察対象としている本論文は、東北地方における地方利益論の展開過程を分析する本研究課題にも密接に関連しており、次年度以降にも継続して論文作成に力を注ぐ予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
全国各地に所蔵されている原資料を順調に調査・収集し、これまで必ずしも十分には明らかにされていなかった新知見を数多く得ることに成功した。その成果の一部を学術論文として公表する作業にも早い段階から着手できた。
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今後の研究の推進方策 |
初期立憲政友会の選挙戦術に関する研究論文を完結させると同時に、当初の研究計画に基づき、全国各地の原資料調査を継続して実施する。また近代日本の東北地方における地方利益論の展開を考える上では、1920年代末からの世界恐慌後の東北地方の経済的困窮を無視して分析するわけにはいかないと考え始め、そのためにはアメリカの東アジア外交政策の影響にまで分析対象を広げるべきであると着想するに至った。次年度以降の新たな課題として取り組みたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に遂行した結果として生じた未使用額であり、次年度以降の請求額とあわせて、次年度以降の研究を遂行するために利用する予定である。 当初の研究計画に基づきながら、研究課題に関する資料の調査・収集などの費用として使用する計画である。
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