本研究では、規制の基準設定や手段選択が行われる「規制空間」の構造と広がりを明らかにした。事例では、国際規制にも影響されながら、適切な基準を設定するために官民で行う事実発見と利害調整が重要であった。そこでは、規制が「公益」から逸脱することのないよう自らの裁量を行使して規制空間に働き掛ける規制機関の姿も観察された。それは、調整の場やプロセスの管理、法令システム・インフラの整備、規制実施手段の制度・仕組みの選択といった「メタ規制」とでも呼べるものである。そうしてでき上がる多層的な規制システムは腐敗(corrosive capture)の発生を防止し得るが、その行政的条件を析出するのが次の課題である。
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