平成27年度の研究成果:平成27年度は、本研究課題の実施最終年度であることを踏まえ、これまでの調査研究の成果を総括するとともに、本研究課題の主たる目的である戦前期の日本におけるインテリジェンスの実態解明について、太平洋戦争開戦時のマレー・シンガポール戦におけるイギリス軍の動向に関する日本側の情勢分析に関する調査を実施し、その実態を明らかにした。この研究成果については、研究報告(下記研究業績欄参照)として、発表している。 また、日中戦争期における在上海日本総領事館および在香港日本総領事館が実施したインテリジェンス、特に人的情報活動(Human Intelligence)に関する分析を行い、その実態を明らかにした。なお、この研究成果についても、研究報告(下記研究業績欄参照)として、発表している。 そして、本研究課題の実施最終年度であることを踏まえ、これまでに発表した公刊論文や研究報告をもとに、これまでの先行研究においては十分に明らかにされてこなかった昭和戦前期日本におけるインテリジェンスの実態を明らかにした。この調査結果についても、論文執筆・投稿あるいは研究報告などを通じて発表することを予定している。 研究成果の意義・重要性:本研究課題の意義や重要性は、これまで学術論文や研究報告において述べてきたが、日本政治外交史のみならず、国際関係論などの諸分野に対しても、大きな波及効果が期待できるものである。 特に本研究課題は、外務省と陸海軍、あるいは本省(外務省、陸軍省・参謀本部および海軍省・軍令部)と出先機関(在外公館および現地部隊)との関係性に注目したが、これはオーソドックスな外交史研究とは異なる視点を提示したことを意味しており、今後の外交史研究を発展させる上で重要な視座を提供したと思料する。
|