本研究では、日本の選挙過程において中心的な役割を果たすとされる選挙動員について、従来ブラックボックスとなっていた、有権者行動に与える影響のメカニズム――なぜ、どのように有権者行動を規定するのか――について分析を行った。その際に、選挙動員が投票行動に与える影響だけでなく、政治認知や政治参加、世論調査回答に与える影響についても取り上げて、組織動員が現代日本の選挙過程において果たす役割について検討した。本研究が明らかにしたのは、組織動員が有権者に投票依頼通りに投票するよう促す社会圧力を生み出す一方で、そのような状況でも自律的に行動する現代日本の有権者の姿である。
|