研究課題
本研究の目的は、政党の選挙公約、ならびに政党マニフェストを時系列に収集し、各種コーディング技法を用いながら、各政党の政策位置を推定することであった。日本における選挙公約研究は、これまで選挙公報を中心に候補者単位で蓄積されてきたが、政党単位の選挙公約は体系的、かつ通時的には収集されてこなかった。本研究は、政治学において高い資料的価値を持つ政党の選挙公約を収集し、近年急速に発展を遂げているコンピュータによるコーディング技術を応用して政党の政策位置を推定する。従来ヒューマン・コーディングを中心になされてきた政党マニフェストの研究を、計量テキスト分析を用いたコンピュータ・コーディングのもとで発展させることが本研究の狙いであった。2016年度の研究実績の概要は以下の3点にまとめられる。(1)これまで収集してきた政党マニフェストを電子化する作業を完了させた。(2)電子化した政党マニフェストのテキストをもとに、これまで検討してきた計量テキスト分析の手法を用いて分析を進めた。まずは、WordfishのRコードを用いて政党位置の推定を進めた。unsupervised methodを用いて十分に政党を一次元上に布置することができることを確認できた。一方で抽出された次元の解釈に課題が残った。(3)次に、政党マニフェストを分類する計量テキスト分析の手法としてstructural topic modelの適用を試みた。従来用いられてきたヒューマン・コーディングによる比較マニフェスト研究の結果と比較する論文を欧州政治学会(EPSA)で報告する予定である。
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European Journal of Political Research, Political Data Yearbook
巻: 55 ページ: 156-163
10.1111/2047-8852.12134