研究課題/領域番号 |
25780106
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
手塚 洋輔 京都女子大学, 現代社会学部, 講師 (60376671)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 政治学 / 行政学 / 過誤 / 事後検証 |
研究概要 |
本研究は,近年とみに設置されることの多い「事後検証機関」に焦点をあてることで,何が行政の過誤かをめぐる政治構造を浮き彫りにするとともに,それへの行政的対応のパターンを同定することを目的とする。第1年度である平成25年度は以下の4点について研究を進めた。第1に,研究体制の構築については,テキストデータの解析を行うためのソフトウェア等を導入した。これに関連して,ソフトウェアの利用に習熟するためにいくつかのデータを試行的に分析することを進めた。第2に,事後検証機関のデータベース作りについては,1990年代を中心に新聞データベースを使用しつつ構築を進め,多様な組織形態の存在を認めるとともに,今後の分析の軸とするべく類型化を進めつつある。また関連する資料についてはウェブサイトで収集できるものを中心に整理した。第3に,理論動向サーベイに関しては,本年度はオーストラリアを中心に調査を進め,関係する研究文献の渉猟を行った。第4に,これまでの研究蓄積に今年度の研究の進捗を追加することにより,事後検証機関に関する設置形態の変化に関する分析を行うことができた。さしあたり自民党政権期における国レベルでの代表的な事後検証機関についてみると,外部化と司法化の傾向があることがわかり,「事後検証機関の設置形態とその変化」(『現代社会研究』16号)として論文発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究体制の構築及び理論動向サーベイについては予定通りに進めている。事後検証機関の調査については新聞データベースとウェブサイトで入手可能な情報が思いの外多かったことからまずはこれに注力することとし,関係機関の実地調査や情報公開請求まで至らなかった。他方でこれまでの研究蓄積に一部を依拠したとはいえ,本研究課題の成果を使った研究論文を執筆することができた。
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今後の研究の推進方策 |
(1)本研究の中核となる事後検証機関の情報収集及び資料解析に全力を尽くす。特に平成26年度はこれまでの作業に加え,過去に遡及することへと視野を広げ可能な限りその構造の把握につとめる。(2)これらの作業の知見をもとに事後検証機関報告書そのものの分析にも取りかかる。(3)理論サーベイについても計画にしたがって着実に進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
過誤事象や事後検証機関に関する資料収集に際し,データベースやウェブサイト上の資料が想定以上に豊富であったことから平成25年度は主にこれに注力した。このため,国会図書館や国立公文書館での資料収集及び関係機関への情報公開や実地調査については計画よりも少ない回数となり,これに要する旅費等の未使用が生じた。 今年度の研究成果を踏まえて,翌年度に関係機関の各種調査等を進めるため,これに要する旅費等に使用する予定である。
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