本研究では、国連開発計画(UNDP)に焦点を当て、国際開発政策をめぐる南北対立に対する国連の対応の歴史を検討した。国際開発政策の形成における周辺地域からの示唆についての研究はこれまで十分にはなされてこなかった。その一方で、UNDPは開発業務に必要な人材、資金、制度およびアイディアを周辺地域からも取り入れ、業務を現地化することによって、被援助国の抱える課題に対応し方針を立てていた。長期にわたって被援助国で業務を展開し、被援助国が有する様々な資源を取り込む機会を得ながら、開発課題に対応し、政策変容を実現していることが、国連開発援助機関の核をなしていると考えられる。
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