研究課題/領域番号 |
25780116
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
池本 大輔 明治学院大学, 法学部, 准教授 (40510722)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | イギリス / 欧州通貨統合 / グローバル化 / 米英関係 |
研究実績の概要 |
本研究は、1980年代に国際通貨体制が大きく変化する中、イギリスのサッチャー政権がアメリカ主導の金融グローバル化を後押しする一方、ヨーロッパの通貨統合から距離をとるようになった経緯と理由、ならびにその帰結を明らかにすることを目的としている。本年度は、研究時間の大半をイギリスのナショナル・アーカイブにおける政府資料の収集とその読解、関連分野の文献読解に費やした。 具体的には、2014年8月にロンドンに滞在し、ナショナル・アーカイブにおいて1980年代イギリスに関する首相個人文書・内閣文書・大蔵省文書の収集(写真撮影)にあたった。収集の対象としたのは、研究テーマに直接関わる国際資本移動自由化に関する文書と欧州為替レートメカニズム参加に関わる文書が中心であるが、イギリス政府の政策形成の背景を理解するため、国内経済政策やアメリカとの外交関係に関する文書もあわせて収集した。約10日間の滞在で12000ページ程度の文書を収集することができた。 同時に、2008年のリーマンショックとその後の深刻な経済危機にも関わらず、金融グローバル化をせき止めるような政治的変化が起きないのはなぜか、という問題関心から、リーマンショック関連の文献調査を開始した。その結果、製造業が衰退し、実質賃金が伸び悩む中、不動産や株式のような資産価格の上昇によって政治的支持を調達する、という金融グローバル化の政治的プロジェクトとしての側面の重要性が浮かび上がってきた。この知見を、1980年代に関する資料調査にも生かしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
イギリスでのアーカイブリサーチを行い、資料収集面で所定の成果を上げることができた。不満としては、2014年の資料公開では本来2年分の資料が公開されるはずが1年分しか公開されず、資料収集の進捗に遅れをきたしている点がある。
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今後の研究の推進方策 |
2015年の資料公開では2年分の資料が公開されたため、来年度は新規公開資料を中心に資料収集を加速させたい。またナショナル・アーカイブだけでなく、イングランド銀行のアーカイブでもリサーチを行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は公開される資料の分量が少なかったため、来年度に繰り越すことにした。
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次年度使用額の使用計画 |
主として、引き続きイギリスでアーカイブリサーチを行うために使用する。
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