本研究の結果、「保守本流」と「反吉田」系の指導者に関して、対米関係のみの狭い視点ではなく、広く米中ソへの対応という視点から、新たな類型化をなしうることを確認した。すなわち「保守本流」は、対米英協調と「親中・反ソ」という日本外交の伝統を重視する「日米中」提携を模索した。「反吉田」系は、米ソ中心の秩序を是認した上で、中ソ双方との関係両立を図る「日米中ソ」協調を追求していた。この二つの系譜が、戦前から冷戦期の長期に渡って継承関係を持っていたこと、そしてどちらが政権を担うかによって、実際の対中・対ソ外交に相違があったことが明らかにした。
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