本研究では、欧州でのマクロ経済政策や金融監督等の連携の不完全性が金融安定性に与えた影響を分析し、世界金融危機やユーロ危機を経て、どの程度問題が是正されたかを分析した。そこでは特に欧州での統合パターンの多様性に着目し、国境障壁の低下による統合だけではなく、地域レベルでの新機関や制度形成を伴う統合(積極的統合)がどのぐらい生じたか、市場創出のための統合だけでなく、市場の失敗に対応した市場修正的な統合がどのぐらい生じたかを金融・通貨政策の領域で分析した。そして、欧州での積極的・市場修正的統合の遅れが金融不安定化にどう繋がったか、2000年代初頭の危機を経てどの程度問題への対応がされたかを検証した。
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