| 研究課題/領域番号 |
25780132
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| 研究機関 | 京都大学 |
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研究代表者 |
佐野 隆司 京都大学, 経済研究所, 助教 (50611208)
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| 研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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| キーワード | オークション / ゲーム理論 / 制度設計 |
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| 研究実績の概要 |
本研究は、時間を通じて資源配分が繰り返されるような状況下における入札メカニズムを、ゲーム理論の枠組みを用いて分析・設計するものである。参加者が一定期間財を配分され続けて初めて価値が生じるような環境を考えたとき、参加者が自身の私的情報を正直に表明するための必要十分条件（誘因両立性条件）の特徴づけ、動学的に効率的な資源配分を達成するメカニズムの設計、および売り手の期待収入を最大化するメカニズムの設計をおこなう。本年度の研究計画では、平成２５年度に分析した、経済主体がメカニズムに1度だけ参加し、売り手と長期契約を結ぶモデル（「基本モデル」と呼ぶ）を、更に一般的な環境へ拡張する予定であったが、国内外での学会報告を通じる中で、基本モデル分析をより深めることの意義がより大きいと判断し、基本モデルの更なる分析に多くの時間を要した。本年度の主たる成果は以下のとおりである。
１．基本モデルにおける、入札者の誘因両立性条件の特徴づけおよび、効率的メカニズム・収入最大化メカニズムの導出を行った論文"A Dynamic Mechanism Design for Scheduling with Different Use Lengths"を複数の国際学会で報告し、分析を深めた。特に、理論的な結果として得られる収入最大化メカニズムは、現実に観察される企業の価格付け行動と必ずしも同調的でない傾向があることを示した。本論文は現在国際学術雑誌への投稿準備中である。
２．上記１で分析したモデルを含む広範な資源配分問題において、入札者の誘因両立性条件の特徴づけが可能であることが明らかになった。本結果は、当該研究テーマである動学的な資源配分問題のみに適用されるものではないが、派生的な結果として現在論文執筆中である。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度に執筆した基本モデルの分析論文（"A Dynamic～"）を主要な国際学会で報告し、分析をより洗練させることができた。当初の予定では、本年度は基本モデルの拡張を試みる予定であったが、学会報告等を通じ、基本モデルの分析をより深めることが有益であると判断した。本論文は現在修正の上、学術雑誌に投稿できる段階にある。また、基本モデルの分析論文の派生として、経済主体が「単一需要（single-minded）である」環境一般に適用可能な誘因両立性条件の特徴づけが可能であることが明らかになったため、この結果について論文の執筆を開始している。また、基本モデルの拡張可能性については、現在検討を始めているところである。
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| 今後の研究の推進方策 |
申請時の計画にしたがって、現在までに分析した基本モデルを様々な観点から拡張を試みる予定である。現在検討しているのは以下のようなモデルである。
１．経済主体が1回のみではなく、複数回メカニズムに参加できる場合への拡張。特に、過去の配分が将来の価値評価形成に何らかの影響を与える場合、効率的メカニズムおよび収入最大化メカニズムがどのように特徴づけられるかを分析する予定である。
２．基本モデルの分析で得られた結果をふまえ、基本モデルが仮定するような「異時点間の財の補完性」ではなく「異時点間の財の代替性」があるモデルを考え、経済主体の時間選好に非対称性があるような環境における入札制度の設計を試みる。
また、現在までの研究の派生として明らかになった、経済主体が「単一需要（single-minded）である」環境一般に適用可能な誘因両立性条件の特徴づけに関する論文を完成させ、学術雑誌に投稿することを目指す。
研究の進捗状況によっては、申請時の計画では想定していないモデルへの拡張を試みることもありうるが、現在までの結果をベンチマークとする点は変わらない。動的制度設計の理論に新たな知見を与える研究となりうるものと考えている。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
平成２５年度途中に京都大学経済研究所にテニュアトラック助教として着任し、テニュアトラック経費として個人研究費を得た。本研究に関係する経費の一部をテニュアトラック経費から支出したため、本年度未使用額が生じた。
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| 次年度使用額の使用計画 |
平成２７年度には、複数の海外の主要国際学会に出席し、研究報告および資料収集を行うことを計画しており、その際の旅費として使用する予定である。また、多数の図書購入のための費用、論文の英文校正サービスを受けるための費用が、当初よりかさむ予定であるので、これらのために使用する予定である。
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