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2014 年度 実施状況報告書

研究開発補助と知的財産権保護強化の動学的マクロ経済分析

研究課題

研究課題/領域番号 25780134
研究機関大阪大学

研究代表者

祝迫 達郎  大阪大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (40351316)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード知的財産権保護 / 特許保護 / R&D / R&D補助金 / 内生成長 / 厚生最大化税率
研究実績の概要

本研究の目的は、R&D補助金や知的財産権保護などR&Dに関わる政策の効果を動学的マクロ経済モデルで分析することである。2014年度は主に次の2つのテーマを分析し、それぞれの研究実績は次のとおりである。
1. 産業の非対称性を考慮した研究
産業の非対称性がある経済成長モデルの構造を明らかにするため、静学的なモデルを構築し、分析を行った。従来の独占的競争の一般均衡モデルでは差別化財産業は一つであったが、本研究ではパラメータの異なる2つの差別化財産業を含んだモデルを構築し、パラメータによってどちらかの産業で過剰参入が起きるという結果を得た。
2. 特許など知的財産権保護強化の課税政策効果への影響の研究
昨年度に引き続き、特許保護が強化されているとき、厚生を最大化する法人税率・消費税率がどのように変化するかを分析した。労働供給を内生化した品質改善型のR&Dに基づく経済成長モデルを構築し、均衡財政の制約の下で厚生を最大化する法人税・消費税の税率を分析し、厚生最大化税率を解析的に求めている。結果として、特許保護が強いとき、消費税から法人税にシフトした方が厚生を高める、という興味深い結果を得ている。理由は以下のとおりである。特許保護強化は消費税増税による法人税減税と同じ効果を持つ。すなわち、R&D投資を促進し生産を減少させる効果である。初期にある特許保護に対して最適に消費税・法人税を決めていたとする。特許保護が強化された場合、現在の消費税・法人税ではR&Dは過剰・生産は過少になり、これを改善するために、法人税増税・消費税減税することになるのである。昨年度までは税率が一定のケースしか分析していなったが、本年度は、モデルを拡張し、時間に依存した最適課税スケジュールを分析し、論文を改訂した。改訂後、中京大学などで研究報告を行い、他研究者から多くの有益なコメントを得ることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1. 産業の非対称性を考慮した研究に関しては、成長モデルでの分析が複雑で、結果の解釈が難しい。そのため、静学的モデルでメカニズムを明らかにしていく予定である。予定とは異なる形だが研究はスムーズに進んでいるといえる。
2. 特許など知的財産権保護強化の財政政策効果への影響の研究に関しては、時間に依存した最適課税スケジュールのケースも分析し、論文の大幅改訂を行った。予定より速いペースで研究が進展した。

今後の研究の推進方策

1. 産業の非対称性を考慮した研究に関しては昨年に引き続き、静学モデルをベースにメカニズムの解明を行う。ある程度結果が得られたら、論文として執筆し、研究報告を行っていく。
2. 特許など知的財産権保護強化の課税政策効果への影響の研究に関しては、予定より速いペースで拡張・改訂も終えた。今後は政府支出なども決定するような財政政策全般の分析も可能なら行う予定である。また1.2.ともに、研究費を利用して英文校正を行い論文の完成度を高める。

次年度使用額が生じた理由

論文の英文校正などを先に延ばすなどの理由で、昨年度の執行額が当初予定より少なくなった。

次年度使用額の使用計画

論文が完成次第、英文校正を行う。それ以外は予定通り研究計画通りに支出する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] Intellectual property rights and foreign direct investment: A welfare analysis2014

    • 著者名/発表者名
      Hitoshi Tanaka,Tatsuro Iwaisako
    • 雑誌名

      European Economic Review

      巻: 67 ページ: 107-124

    • DOI

      10.1016/j.euroecorev.2014.01.013

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり

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公開日: 2016-06-01  

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