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2014 年度 実施状況報告書

リカードウ経済学の普及と受容に関連したトレンズ経済学の理論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 25780144
研究機関神戸大学

研究代表者

久松 太郎  神戸大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (60550986)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードトレンズ経済学 / リカードウ経済学 / 古典派経済学 / 国際情報交換
研究実績の概要

本研究の目的は、リカードウ経済学がいかにして同時代のロバート・トレンズに受容されていたかを示し、彼がどのようにリカードウ経済学の普及にかかわっていたのかを理論的に明らかにすることにある。リカードウ経済学の受容と普及という近年の古典派経済学史研究における重要な課題を、当時の重要人物であったトレンズに焦点を当てて検討することに加え、従来のトレンズ研究で対象となることの少なかった希少文献を利用している点に本研究の学術的独創性がある。
25年度の遅れにより、26年度も当初予定からの大幅な変更を余儀なくされた。しかしながら、申請時に予定していた通りの希少文献のいくつかを分析することができ、それに関する研究「ロバート・トレンズとマルサス人口論」をマルサス学会第24回大会(関西大学)で報告した。その成果は、2015年の『マルサス学会年報』(24)において掲載受理され、「ロバート・トレンズとマルサス人口論―1817年論文と1829年補論における理論と政策―」として公刊される予定である。また、リカードウを含む古典派経済学者とトレンズとの知的交流をまとめた「古典派経済学者の知的交流―ロバート・トレンズの生涯とその著作―」が『国民経済雑誌』210(5)に掲載された。さらに、2014年9月に開催されたリカードウ国際会議(早稲田大学)におけるA. Maneschi(Vanderbilt University) の研究報告「David Ricardo's trade theory: anticipations and later developments」の座長(兼討論者)を務めた。当該報告は、貿易理論におけるトレンズとリカードウの関係を論じたものであり、本研究内容との関連性を大いに見出すことができるものであった。25年度より続けている1819年論文を含む研究成果はほぼ完成させることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

25年度の遅れ(別の科研事業[分担者]との関連による;詳細は前年度に既述)により、大幅な研究計画の見直しを余儀なくされたため、「おおむね順調」という自己評価にとどまっている。
しかしながら、申請時に予定していた通りの希少文献についての研究をマルサス学会第24回大会で報告することができた。その成果は、2015年の『マルサス学会年報』(24)において掲載受理され、「ロバート・トレンズとマルサス人口論―1817年論文と1829年補論における理論と政策―」として公刊される予定である(トレンズとマルサス人口論との関係についての研究であるが、マルサス人口論がリカードウ体系の重要な柱をなしていたことを考慮すれば、間接的にトレンズとリカードウとの関係性も見出される。また当該研究論文では、1829年補論に見出されるトレンズの経済成長理論がリカードウの動学的成長理論と類似している、リカードウよりも明確な理論であることが結論で述べられた)。
また、リカードウを含む古典派経済学者とトレンズとの知的交流をまとめた「古典派経済学者の知的交流―ロバート・トレンズの生涯とその著作―」が『国民経済雑誌』210(5)に掲載された。
さらに、2014年9月に開催されたリカードウ国際会議では、ヴァンダービルト大学名誉教授のアンドレア・マネスキ氏による貿易理論をめぐるトレンズとリカードウの関係性を研究した報告に対して討論を行うことができ、本研究に必要となるであろう国際情報交換をなしえた。

今後の研究の推進方策

[1] 1819年論文を含む研究成果を、27年度に英文校閲に出し、DPとしてまとめる予定である。その後、海外の査読付きジャーナルへ投稿する予定である。
[2] Maneschiとの研究討論の結果を踏まえ、リカードウ貿易論のトレンズへの影響に関する研究をまとめる予定である。
[3] 1817年論文とも関連する、トレンズの南オーストラリア植民論についての研究を行う。これに関しては、27年度8~9月にシドニー大学で客員研究員として在籍する許可を得ており、シドニー大学図書館およびニューサウスウェールズ州立図書館等を利用して植民に関する資料調査を行う予定である。
25年度の遅れや、研究の進展にともなう新たな研究の創出などによって、当初予定していた本研究の書籍化への到達は困難となってきた。しかし、以上の研究をもって、本研究の目的(リカードウ経済学がいかにして同時代のロバート・トレンズに受容されていたかを示し、彼がどのようにリカードウ経済学の普及にかかわっていたのかを理論的に明らかにすること)自体の達成は可能であると考えている。

次年度使用額が生じた理由

当初購入を予定していた古典文献がほとんどオンラインでフリーで閲覧できるようになったこと、また英国新聞のデジタル・アーカイヴを所属大学付属図書館を経由することで期間限定でフリー閲覧できたことにより、図書購入費を抑えることができた。

次年度使用額の使用計画

27年度は、これまでの研究成果を英文化する際の校閲費、オンラインで閲覧できない新刊図書などの購入費、研究成果報告のための旅費について、研究費を使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち謝辞記載あり 2件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] ロバート・トレンズとマルサス人口論―1817年論文と1829年補論における理論と政策―2015

    • 著者名/発表者名
      久松太郎
    • 雑誌名

      マルサス学会年報

      巻: 24 ページ: 印刷中

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 古典派経済学者の知的交流―ロバート・トレンズの生涯とその著作―2014

    • 著者名/発表者名
      久松太郎
    • 雑誌名

      国民経済雑誌

      巻: 210 ページ: 67-95

    • 謝辞記載あり
  • [学会発表] ロバート・トレンズとマルサス人口論2014

    • 著者名/発表者名
      久松太郎
    • 学会等名
      マルサス学会第24回大会
    • 発表場所
      関西大学(大阪)
    • 年月日
      2014-06-28 – 2014-06-28

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公開日: 2016-06-01  

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