| 研究実績の概要 |
本年度は、自由主義と政府介入の境目を見極めるうえで重要と考えられる「温情的な政府」という概念などにも注目しながら、18世紀から20世紀にかけての経済的自由主義の変遷について史料調査や学会報告、論文執筆などを進展させた。
主な研究発表としては、2016年7月にリール・カトリック大学で開催された国際功利主義学会（International Society for Utilitarian Studies）に出席し、19世紀イギリス最大の哲学者・経済学者でありなおかつ自由主義者として知られるJ.S.ミルの経済思想・自由主義観についての研究成果を発表した（Idealistic Aspects of J.S.Mill's Political Economy）。
著書・論文・訳書などとしては、「経済学と功利主義の関係性：功利主義へのリアクションを通じて」を執筆した。同論文は有江編『功利主義と公共性』所収として出版予定であるが、厳しい出版事情の問題などから現在のところ出版社は未定である。また本研究課題と関連する重要な専門文献フライシャッカー著『分配的正義の歴史』晃洋書房（Samuel Fleischacker, A Short History of Distributive Justice）の翻訳作業に従事し、これを2017年3月に出版した。また前述の英語論文の海外ジャーナルへの投稿のための改定作業を進めている。
|
