本研究の主な目的は、第1に、19世紀における功利主義や自由主義の歴史的展開を詳細に検討すること、第2に、それらがその後の経済学の発展を通じてどのように受容されていったのかを検証することである。以上を通じて、経済学の背後にある功利主義的・自由主義的思想の特徴を、可能な限り明確に浮かび上がらせるべく研究を進めた。 経済思想の変遷を辿るために、自由主義やパターナリズムといった言葉が主要な経済学者においてのみならず、新聞記事を含む当時の多様な議論でどのように活用されたのかについても調査を実施した。そしてJ.S.ミルの経済思想を中心に据えながら論文の刊行や国内外の学会での研究成果の発表などを実施した。
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