研究課題/領域番号 |
25780148
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 小樽商科大学 |
研究代表者 |
劉 慶豊 小樽商科大学, 商学部, 准教授 (60378958)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | Model Averaging / Model Selection / Optimality / OLS / GLS / GMM / Tobin's Q / Forecast |
研究概要 |
平成25年度にはまずOLS推定量のモデル平均に関する論文の修正を行い、学術誌への掲載を達成した。 さらに、一般化最小二乗モデル平均法(GLSMA)の開発と、その理論的性質、特に漸近的にリスクの下限に到達できるという最適性の検証を行った。GLSMAは、複数の候補となる線形回帰モデルを一般化最小二乗法(GLS)によりそれぞれ推定し、そして得られた推定結果を元にリスクを最小にできるように加重平均して最終の推定量を求めるという方法である。GLSMA推定量が漸近的にリスクの下限に到達できるという最適性を定理の形で示した。さらにGLSMAの有限標本下での性質を調べるためにMonte-Carloシミュレーション実験を行った。実験の結果として様々な既存方法より優れている性質を持っていることを示した。研究成果の応用例として、GLSMAを用いた日本上場企業のトービン(Tobin)のQの予測を行い、GLSMAの高い予測精度を確認できた。 以上の研究成果により、非ベイズ的な領域で初めて最小二乗法(OLS)の代わりにGLSを利用してモデル平均法の構築に成功した。個々の候補モデルの初期推定にGLSを利用することで、分散不均一性の影響がかなりの程度まで除かれ、推定量のリスクが既存方法よりさらに軽減できた。実証研究のために適用範囲の広い、精度の高い新しい推定法を提供した。 もう一つの成果として、次年度に予定していた研究、条件付きモーメント制約を用いた一般化モーメント法推定量(GMM)のモデル平均法の構築を既に進めている。GMMのモデル平均推定量の高次の平均二乗誤差(MSE)の推定量を構築し、それをもとにGMMモデル平均の最適なウエイトを求める手法を開発し、その方法の有限標本の性質を調べるためにシミュレーション実験を行った。理論的な性質はこれから解明して行く。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
まず、OLS推定量のモデル平均に関する論文の修正を行い、学術誌への掲載を達成できた。 さらに、予定している平成25年度の課題であるGLSMAの研究が既に論文としてまとめて投稿した。今は初回の審査を通り、リバイズして再投稿した。 以上のように当初計画した内容はすべて完成して、その上、次年度に予定していた研究、条件付きモーメント制約を用いた一般化モーメント法推定量(GMM)のモデル平均法の構築を前倒しして行っている。
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今後の研究の推進方策 |
これまで通り研究を進めて行く。状況に応じて後年度の研究内容を前倒しして行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度実験用コンピューターを購入するために前倒し支払い請求を行ったが、使い切ることができなくて、20,650円の残金が生じた。 20,650円の残金を翌年度分として請求した助成金と合わせて研究用消耗品や旅費などに利用する予定である。部品費12万円ほど、学会参加費25万円ほど、英文校正料金など5万円ほどとして使用する予定である。
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