モーメント制約(等式)およびモーメント不等式によって定式化されるモデルに関するベイズ推定の方法について検討した。これらのモデルはセミパラメトリックモデルであるため、尤度関数が明示的に与えられていない。そこで経験尤度を尤度として用いてベイズ推定を行う方法を考察した。 27年度は特に、モーメント制約モデルにおいて、経験尤度を用いたベイズ推定の漸近的な性質について考察した。Bickel and Kleijn (2012) がセミパラメトリックモデルにおけるBernstein-von Mises定理を与えており、彼らの結果と経験尤度によるベイズ推定の結果が漸近的に同等になるとの考えのもと、検討を行ったが、まだ証明にはいたっていない。 また、関連研究として、条件付モーメント制約モデルのleast favorable submodelを求めることで、効率性の限界の簡便な求め方を示すとともに、漸近的に効率的な推定量を提案した。この推定量は条件付モーメント制約モデルのための経験尤度推定量であると解釈することができる。
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