研究課題/領域番号 |
25780154
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 釧路公立大学 |
研究代表者 |
生方 雅人 釧路公立大学, 経済学部, 准教授 (00467507)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 高頻度データ / ボラティリティ予測 / ジャンプ / オプション / 分散共分散行列 / ヘッジ比率 |
研究概要 |
金融取引のリスクの一つであるボラティリティ(株式収益率の分散または標準偏差)を計測する方法や予測を考える研究は重要視されている。本研究の第一は、ボラティリティ予測に有用な変数を考察することである。具体的には、事後的に実現するボラティリティを真のボラティリティの代理変数として、原資産のオプション価格から計算されるインプライドボラティリティのジャンプ成分が実現ボラティリティ予測に関与するのかどうかについて検証していくものである。インプライドボラティリティのジャンプ成分のボラティリティ予測に対する有効性を検証する研究はまだ行われていないようである。これまでの分析から、そのジャンプ成分が予測に有効であるという可能性は強く否定できず、引き続き結果の頑健性のチェックなどを行っていく。 また、リスクの一つである収益率の分散や共分散を推定・予測するさいに、一日内の取引記録などを収録した高頻度データを使う方法の有用性に関する検証は重要である。本研究の第二は、高頻度データを用いて現物取引を先物取引でヘッジする戦略のパフォーマンスを検証することである。具体的には、高頻度データから現物をヘッジするのに必要な先物の比率を予測し、そのヘッジ比率のもとで構成されるヘッジポートフォリオのパフォーマンスをみた。その結果、高頻度データを利用したヘッジ戦略は全てのケースにおいて、よいパフォーマンスをもたらすわけではないが、その有用性が確認できるケースもみられるので、どのような場合に有効であるかどうかの検証を引き続き行っていく。 これら以外に、平成25年度以前から行っている高頻度データを用いたボラティリティのリスクプレミアムを用いた研究を査読付き学術論文に公刊するまでの改訂作業や研究報告による社会への発信を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は研究達成度は当初予定していた内容を一通り行うことができたと言える。最終的には主に研究実績の概要で述べた2つの研究について何らかのインプリケーションを導き出すことを研究目標としている。本年度では論文のサーベイから、データの整理と統計手法を用いた分析を行い、研究進捗状況を研究会で報告するところまで行うことができたことから、次年度での上述の研究目標達成に向けて時間的にも十分間に合うことができると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では、平成25年度で行った分析や研究発表で得られた新たな知見に基づいて、研究実績の概要で述べた2つの分析のバリエーションを増やす。その後、様々な角度から分析結果を再考する。得られた結論については学会・研究会での発表を通して社会に発信する予定である。それらの研究結果は2つの学術論文としてまとめる予定である。
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