研究課題/領域番号 |
25780160
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
内田 真輔 信州大学, 学術研究院社会科学系, 講師 (70636224)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 資源分散 / 内生的経済成長 |
研究実績の概要 |
豊かな天然資源は、資源国の経済に停滞と成長という相反する結果をもたらしている。このような資源と経済成長の非単調な因果関係を説明するため、従来の「量」的な資源の豊かさの定義に加え、本研究では、資源投資の収益率に影響を及ぼす資源の地理的な「分散」を新たな豊かさの指標として用いる。 前年度(平成25年度)には、資源の量と分散に基づく投資決定問題を内生化した動的モデルの構築を行った。その際生じてきたモデルの制約を解決すべく、今年度は、協力体制にある動的マクロモデル専門家との意見交換を積極的に行い、理論モデルのブラッシュアップに努めた。改善策のひとつとして、産業集積などの分析に用いる立地論を応用し、資源の集中と資本投資レベルの関係性に対する説明を試みた。 また、理論分析と並行して、既存の天然資源分布データを基に実証分析を実施した。まず、ケース・スタディとして、イギリスの植民地であり、ダイヤモンド資源に依存するシエラレオネとボツワナというアフリカの2か国を取り上げ、比較分析を行った。それぞれの国のダイヤモンド資源には大きな特徴の違いがあり、シエラレオネのダイヤモンドは、広範囲にわたり小規模な鉱山が点在しているのに対して、ボツワナは大規模な鉱山が数か所に集中している。分析の結果、このダイヤモンド資源分布の違いとそれに伴う投資レベルの違いが、独立時にはほぼ同じ経済レベルにあった両国のその後の成長過程に大きな違いをもたらしている可能性が高いことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
基本的な理論モデルは構築できており、当初課題に対する改善策も考えることができたものの、今後も継続的な理論モデルの改善とそれに沿ったシミュレーション分析を展開する必要があるため。 また、実証分析面に関しては、上述の事例分析に加え、より一般的な分析を滞りなく進めていく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
前年度同様、シミュレーション分析の準備を行いつつ、理論モデルのブラッシュアップに引き続き努める。同時に、実証分析から得られた結果を研究会や学会で発表する機会を持ち、フィードバックの収集を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に予定していた学会発表が行えなかったため、旅費分の次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額とH27請求額をあわせて旅費や広報費用として重点的に用いることで、研究成果を発信するための研究会や学会への参加・発表を行う機会を増やす予定である。
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