| 研究課題/領域番号 |
25780167
|
|---|
| 研究種目 |
若手研究(B)
|
| 研究機関 | 長崎県立大学 |
|---|
研究代表者 |
水野 倫理 長崎県立大学, 経済学部, 准教授 (60589315)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
| キーワード | 垂直的市場 / 寡占市場 / 垂直的企業結合 / 在庫保有 |
|---|
| 研究概要 |
平成25年度の研究において、まず複数層の寡占市場を分析できるモデルの構築を行った。先行研究の調査を行ったところ、川上市場と川下市場間で取引を行う場合、川下市場の企業が価格支配力を有するモデルはほとんど存在しないことが分かった。次年度以降の研究において十分な成果を挙げるために、この川下市場が価格支配力を有するモデルの構築を優先し、平成25年度中に分析可能なモデルを作ることができた。現在はこの研究成果を論文にまとめている段階である。また、このモデルを構築する過程において副次的に作られた研究成果として、Hatada and Mizuno (2013) および Iida, Mizuno, and Yoshida (2014) がある。Hatada and Mizuno (2013) では、多くの財・サービスを供給する要求の強い労働者がいる組織ほど在庫を多く抱える可能性を考慮し、これらの特性を入れたモデルを作成した。今後は、このモデルに在庫と垂直的企業結合を取り入れる予定である。また、Iida, Mizuno, and Yoshida (2014) では、複数層の寡占市場における垂直的企業結合に影響を与える要因として環境税の問題を取り入れることを目指すため、まず、垂直的市場における環境税の分析を行った。今後は、このモデルを多層構造にし、垂直的企業結合を考慮する予定である。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
在庫を考慮したモデルの構築は十分な成果が出ていないが、複数層の構造を考慮するモデルはほぼ完成しており、今後はこのモデルの応用を考えていくことが可能である。具体的には、今年度の研究成果から企業内の特性や環境税などの政策に適応可能であることが予測されている。したがって、在庫を考慮したモデルの進捗の遅さと複数層の構造を考慮したモデルの進捗の速さを勘案すると、順調に進展していると考えられる。
|
| 今後の研究の推進方策 |
まず、川下市場の企業が川上企業に対して価格支配力を持つモデルを分析した論文を執筆を完了することを予定している。その後、このモデルを用いて、複数層の構造を持つ市場における垂直的企業結合のモデルを分析する。現時点では、川上市場、川中市場、川下市場の企業数を一般的に表した状態で計算可能であると考えているが、それが難しい場合は、各市場2企業ずつのモデルを分析する予定である。次に、現在進行が遅れている、在庫を持つ企業の垂直的企業結合の問題を分析する。このモデルにおいても、現在執筆中の川下企業が川上企業に対して価格支配力を持つモデルが適応可能であると思われるので、前述した論文が完成次第、このモデルで分析可能であるかの確認を行う。もし、現在執筆中のモデルで分析できないのであれば、川下企業が価格支配力を有さないモデルで分析する。平成26年度はこれらの研究成果を論文として仕上げ、ディスカッションペーパーとした後で、投稿していく予定である。
|
| 次年度の研究費の使用計画 |
研究代表者の所属が２０１４年４月より変わることが２０１３年度中に分かっており，移動後に当該研究課題の遂行に必要な環境が維持できるか不十分にしか分からなかった。そのため，より優先度の高いものに支出できるよう，２０１３年度中に使用予定だった予算の一部の執行を保留した。
研究課題の遂行に必要な環境を整えるものに支出する。残った部分は，前年度に支出予定だった英文校閲費などに順次支出する。
|
