研究課題/領域番号 |
25780169
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
大久保 敏弘 慶應義塾大学, 経済学部, 准教授 (80510255)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | Spatial Selection / Spatial Sorting / 産業集積 / 製品 / 輸送費 |
研究概要 |
理論研究では、今までの研究テーマである「企業の生産性が異質なもとでの空間経済学」をもとに研究を発展させた。Baldwin and Okubo(2006,JoEG)を拡張し多数産業かつ多数生産要素があるもとでのSpatial Selectionを理論構築し、様々な立地パターンやSelectionのパターンを発見し、実際のデータで立証した。Forslid and Okubo (2014, RSUE)として成果をまとめ発表した。また、輸送の規模の経済を加味したSpatial Selectionの理論を構築し、Forslid and Okubo(2014、JRS)として成果をあげた。これらは東日本大震災で被災した東北地方の企業立地や集積の形成過程と崩壊を説明するのに役立つものと思われる。例えば東北道沿いの高度な機械産業の集積の形成を説明できるだろう。 実証研究では、工業統計を使い、製品レベルでの分析を行った。製品レベルでのパネルデータを構築する。企業内部でのプラント間の製品の生産配分や海外生産へのスイッチ、新規生産の製品の有無など変化の要因を分析した。非常に多くの研究課題が存在しているため、研究は途上であるが、その第一歩としてBernard and Okubo(2013)として成果をまとめ論文として完成させた。製品レベルの生産体制や企業行動が明らかになった。 過去20年、また今まで想定されていたよりも頻繁に製品レベルでの生産開始と停止が起こっていることが分かった。今後は阪神・東日本大震災を契機にどう変化したかや生産のシフトやネットワークに関して分析する予定である。 更に今後の実証研究の準備として、日本における過去の大規模自然災害関連のデータ収集と整理を行った。来年度以降、さらに整備を進めるとともに、データを利用して実証研究を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
上記のように、研究実績・内容・成果はとも研究計画に沿うものであり、さらに着実に国際的な査証付ジャーナルに採択されており、国際的にも評価を受けており、きわめて順調に進んでいるといえる。例えば、Regional Science and Urban Economics (RSUE)やJournal of Regional Science(JRS)といったフィールドのトップクラスのジャーナルに採択されている。さらに今現在も世界のトップクラスのジャーナルでの採択に向けて積極的に投稿を続けている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の理論研究・実証研究は基礎段階であり、自然災害を直接的に分析したものではない。これは当初の平成25年度の研究計画通りであり、平成26年度はこれらの成果をもとに深化させて、今後は阪神大震災や東日本大震災といった大規模自然災害の及ぼす影響を研究していく予定である。 その際、自然災害関連のデータを用いたり、様々な自然科学の知見やデータを用いて研究を進める。当初の平成26年度の研究計画にしたがって研究を着実に行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費にてPCを買う予定だったが、高性能のものがモデルの入れ替え期や消費増税の駆け込み需要などあり在庫切れが続き、結局年度末に購入できなかった。また一方で海外出張で為替や物価などの変化により当初予定より費用がかさんだ。このため物品費の一部を出張代にあて、残りを次年度繰越にした。 来年度以降、状況を見て物品費によりPCを購入する予定である。
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