本研究プロジェクトでは、バングラデシュおよび福島県の被災地で収集した独自家計データを用いて、災害復興におけるコミュニティの役割を分析し、5本の論文を執筆した。第一に「Challenges for Reducing the Number of Disaster Victims in Bangladesh」では、村人同士のソーシャルキャピタル(信頼関係)がサイクロン被災時の避難行動に及ぼす効果を分析した。この論文はJICA研究所から出版される書籍に掲載予定である。第二に、「Religious Fractionalisation and Crimes in Disaster-Affected Communities」では、複数宗教が混在するコミュニティほど大規模災害時に治安が悪化しやすいことを明らかにした。この論文はMPRA Working Paper 78702にまとめられており、英文学術雑誌に投稿済みである。第三に、「Incentive for Risk Sharing and Trust Formation」では、共助インセンティブが強い個人間では、サイクロン後の信頼関係が強まることを示した。この論文はMPRA Working Paper 71950にまとめられており、英文学術雑誌に投稿済みである。第四に、「Peer Effects in Employment Status」では、いわき市内仮設住宅入居者の失業期間に近隣効果が影響したことを示した。IZA Discussion Paper No. 9708にまとめられ、英文学術雑誌に投稿済みである。第五に、「応急仮設住宅における社会的孤立」では、仮設住宅内の社会的孤立の決定要因を分析した。日本語学術雑誌に投稿済みである。
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