貿易自由化だけでなく人の移動の円滑化も併用することにより,2国間地域貿易協定の両参加国がともに経済厚生を改善できることを理論的に示した。また2つの国の政府による政策決定ゲームを用いて,実質的な貿易自由化と人の移動の円滑化が同時に実現する可能性も理論的に示した。これらの結果はどの水準までの自由化・協力を経済連携協定に含めるかを検討する際の1つの学術的サポートとなる。 実証分析は完遂できなかったが,APECにおける商用渡航カード・プログラムの導入とその拡大,米国の専門技能者ビザ発行プロセスの変化に注目すれば,人の移動の円滑化が貿易・直接投資に与える影響を実証的に分析可能であるとの結論に至った。
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