研究課題/領域番号 |
25780174
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研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
盛本 圭一 明星大学, 経済学部, 准教授 (50609815)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | マクロ経済学 / 消費税 |
研究実績の概要 |
平成27年度では、まず、家計の異質性が存在する経済での消費税の効果に関して導入的段階となるモデル分析が完了した。具体的には、貯蓄を行わない家計が一定割合存在するシンプルな経済成長モデルにおいて、消費税率の変更が資源配分および社会厚生に与える影響を理論的に解析し、査読誌に再投稿することができた。この研究は当該研究プロジェクトの中心となる部分の研究結果をより理論的にシンプルに理解するために重要なステップとして計画に組み込まれており、達成する必要があるものであった。 続いて当該年度では、前年度にそのベンチマークを築いておいた労働生産性が家計ごとにバラバラであるようなマクロ経済モデルの理論分析および数量分析が完了した。そこでは、前年度の労働供給が外生であるモデルが予測する理論的な性質が内生であるモデルにおいても保たれることが確認された。さらに、数量分析においては、消費税率の変更が所得の高い家計から所得の低い家計へもたらす資源移転の効果が、シンプルなモデルに比べて平均的に小さくなるという結果も得られた。 また、消費税による税収を一括移転するだけの財政政策レジームから公債発行も同時に行う財政政策レジームへ分析対象の拡張も行った。 しかしながら、今年度実行できた分析は、消費税に関する政策変更が異質な家計間に起こす資源移転を多角的に理論的・数量的に日本のデータと突き合わせて解析しているという点で目新しい研究となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画当初は、公債発行を含む財政政策を行う場合の分析も今年度で完了し、論文にまとめて査読誌への投稿を行う予定であったが、公債発行のルール設定が複雑であることが進捗とともに判明し、その場合の頑健性チェックが十分に終了しなかった。また、税収を移転だけではなく公共サービスの供給や公共投資に回す場合を理論的に分析しておく必要性を指摘され、その実行も含めると、当初予定していたように平成27年度でプロジェクトを完了することが困難となった。
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今後の研究の推進方策 |
[現在までの進捗状況]に記した現況を考慮し、公債発行を含む財政政策を行う場合の分析を頑健性チェックを十分に行った上で完了させる。また、政府支出に公共サービスの供給および公共投資を含む場合も同様に分析し、これらを合わせた論文を仕上げ、査読誌への投稿を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
消費税の再分配効果について分析する際、いくつかのより現実的な仮定(公共サービスの存在等)を置いた理論モデルによる頑健性チェックを行うべきであると判断されたので、追加的に分析を行ったうえで論文投稿を行うことが望ましくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
学外も含めた研究発表を行うため、劣化が進んだモバイル型PCの新調や論文投稿にかかる諸経費として使用する予定である。
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