研究課題
消費税率変更がマクロ経済動学に対して与える影響及び再分配効果を理論モデルに基づき分析した.前者については,Aiyagari型の動学一般均衡モデルを構築し,消費税率の変更が異時点間において家計の消費・貯蓄をどのように変化させるかを描いた.後者については,集計された消費等のマクロ変数のみならず,資産などの分布が時間を通じてどのように変化するかを数値解析によって分析した.近年の日本では消費税率の変更を巡る政策的意思決定が注目を集め,また,その効果の予測についても強い関心が持たれている.本研究課題は,現代的なマクロ経済動学モデルの枠組みで消費税率変更の効果を理論的に分析し,こうした現実的要請に対して一つの回答を出すことを目的としている.消費税率の変更そのものは過去に行なわれたことがあり,そのときのデータに基づく実証的アプローチによる分析はもちろん重要である.しかし,今回の消費税率変更は複数の段階を踏む可能性があり,過去の日本において行なわれなかったことであるため,モデルを利用した理論分析が必要である.また,理論モデルに基づくアプローチには,社会厚生の観点から消費税率変更がマクロ変数や個人ごとの分布に与える影響を評価できるという利点がある.この意味で,本研究課題には一定の意義があると思われる.本研究課題では,特に最終年度は,上記のような理論モデルの構築と数値解析に関してベースとなる手法を提示し,初歩的な分析結果を得ることに成功した.
すべて 2016 その他
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Social Science Research Network
巻: abstract=2242644 ページ: 1-19
10.2139/ssrn.2242644
https://sites.google.com/site/morimotokeiichi/research