研究課題/領域番号 |
25780176
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研究機関 | 大阪経済大学 |
研究代表者 |
渡邉 正英 大阪経済大学, 経済学部, 准教授 (50434783)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 環境評価 / 曖昧性 / 不確実性 / 非期待効用モデル |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、曖昧性と呼ばれる確率が一意に定まらない不確実性下での環境評価モデルの構築と、そのモデルを用いた実証研究である。従来までの不確実性下の環境評価は、期待効用理論に基づくものであった。しかしながら、環境評価研究でしばしば対象となる曖昧性下では、期待効用理論では人々の意思決定をうまく表現できないことが知られている。そこで、曖昧性下における意思決定理論を環境評価モデルに取り込み、その影響を実証的に検証することとした。2014年度の研究成果は以下のとおりである。
1."Evaluating Change in Objective Ambiguous Mortality Probability: Valuing Reduction in Ambiguity Size and Risk Level"(with Toshio Fujimi)がEnvironmental and Resource Economicsに掲載された。この研究では、客観的曖昧性下における意思決定モデルを理論的基礎とし、曖昧性が変化するときの厚生変化の貨幣測度を実証的に導出可能なモデルを構築した。
2.主観的曖昧性下での環境評価モデルを構築し、従来型の期待効用理論に基づく評価と実証比較した。結果として、不確実性下における環境評価では、曖昧性が評価関数の推定に有意に影響を及ぼすことが明らかとなった。さらに、この研究では、主観確率とその曖昧性に関する内生性バイアスを緩和するアプローチをとった。内生性は統計的に有意に存在することが示され、内生性を考慮しない場合には、評価額に大きなバイアスが生じることが示された。この研究は現在国際雑誌に投稿し、審査中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
主観確率の二次確率分布を仮定した曖昧性下の意思決定モデルに基づく実証研究を行うために、アンケート調査を実施する予定であったが、実施できていない。アンケート調査を実施するうえでの評価モデルの基礎理論は定まり、主観確率を聞き出す質問形式についても、先行研究をもとにほぼ固まった。
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今後の研究の推進方策 |
主観確率の二次確率分布を仮定した曖昧性下の意思決定モデルに基づく環境評価モデルを使った実証研究を行うために、アンケート調査を実施する。主観確率およびその二次確率をweb調査で聞き出す質問が重要であるが、その計画はほぼ完了している。迅速に調査を実施し、データ分析を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度実施予定であったアンケート調査を行うことができなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度実施予定であったアンケート調査を迅速に行う。
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