義務教育期間中に獲得する学力は,早期に蓄積される人的資本の中の重要な一部分である。この時期に蓄積された人的資本が後の就業や所得水準に影響することを考慮すれば、学力分析は経済学においても重要な研究領域である。本研究課題では,主に義務教育期間中の児童・生徒を対象として,学力の規定要因を分析した。中でも,学級規模の縮小が生徒の学力向上につながるのか,という点について重点的に研究を遂行した。分析の結果,学級規模の縮小が中学3年生の学力向上をもたらすこと,またその効果は社会経済的に恵まれない生徒が多い学校において大きいことが発見され,教育の公平性の観点からも重要な研究成果を得ることができた。
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