研究課題/領域番号 |
25780186
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
両角 良子 富山大学, 経済学部, 准教授 (50432117)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 障害者 / 長期疾病患者 / 要介護高齢者 / 健康リスク / 個票データ / レセプトデータ |
研究実績の概要 |
平成26年度は本研究の2年目として,データの入手,データのマイニング,解析,論文執筆を中心に行った。 研究計画に示した「経済的損失の計測」「制度変更・環境格差の影響の計測」「ソーシャルサポートの有無とその影響の計測」のうち,「ソーシャルサポートの有無とその影響の計測」で研究成果が出ている。 両角良子・水内豊和・末村裕美 (2015)「発達障害児・者の保護者は誰から嬉しい経験や不快な経験をしているのか:親支援アンケートに基づく実証研究」(『富山大学人間発達科学部紀要』, 9(2), pp. 67-77)は,様々な年齢の発達障害児・者の保護者を対象とした大規模なアンケート調査の個票データを使って,社会的支援を得た保護者・得られなかった保護者,支援を提供した主体・提供しなかった主体を分析した。 分析で使用したアンケート調査の特徴は,保護者に,子どもの健診時や就学時の保護者本人の経験をたずねている点である。健診や就学時に保護者が嬉しい言葉や対応を経験した場合を社会的支援が良好な状態とみなし,保護者が不快な言葉や対応を経験した場合を社会的支援が劣悪な状態とみなした。 分析の結果,不快な言葉や対応を経験したことがある保護者の割合は60.7%であった。また,比較的高い割合の保護者が,医師,保育士・幼稚園教諭,小・中学校(普通学校)の教員から嬉しい経験をしていたが,不快な経験もしていた。同じ職種であっても,発達障害児・者の保護者への対応で個人差があるか,同一個人であっても,その時々で対応に差があることが考えられる。さらに,プロビットモデルによる推定で,嬉しい経験や不快な経験をする確率に子どもの障害の種類が影響することが確認された。これは発達障害の中でも障害の種類によって,保護者が受け取る言葉や対応に違いがあることを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は,研究期間の2年目として,1年目の作業を引き継ぐとともに,一部で研究成果が出ている。また,平成25年度の研究成果の一つである,両角良子・鈴木亘・湯田道生・岩本康志 (2013) 「通所リハビリテーションの提供体制の整備が介護費に与える影響」(『医療経済研究』(医療経済研究機構), 24(2), pp. 128-142)からヒントを得て,要介護度の分析を行っており,学会での報告を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画表に基づいて,引き続き,「経済的損失の計測」「制度変更・環境格差の影響の計測」「ソーシャルサポートの有無とその影響の計測」を行う。本研究を遂行する上で,3年目は,1年目・2年目に雑誌に投稿した際にレフェリーから得たコメントや,これまでの学会報告や各種研究会等で得たコメントを生かし,引き続き,解析・論文執筆・発表・雑誌への投稿を中心とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
①書籍の費用が予想していたよりも、高額にならなかったこと、②次年度にソフトウェアの追加購入の必要性が予想されたことが理由としてあげられる。
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次年度使用額の使用計画 |
使用しているソフトウェアで新しいバージョンが登場したため、その購入費用にあてる予定である。
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