本研究では、次の2つの研究項目で成果を得た。第一に、日本政府が1990年代後半の銀行危機時に行った銀行への公的資本注入政策の効果を分析した。推定の結果、企業と銀行の属性をさまざまな形でコントロールした上でも、公的資本注入は企業向け融資を増加させ、生産性が高く設備投資の必要が大きい企業であるほど、取引関係のある銀行の自己資本比率の改善が、設備投資の増加に重要であることが明らかになった。第二に、税額控除が、企業の研究開発支出に与える影響を推定した。推定により、税額控除の効果は有意に正であり、その効果は、負債比率が高い企業ほど大きいとの結果を得た。
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