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2015 年度 実績報告書

ネットワーク理論を用いた金融システムのシミュレーション分析

研究課題

研究課題/領域番号 25780203
研究機関神戸大学

研究代表者

小林 照義  神戸大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (10387607)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードネットワーク / システミックリスク
研究実績の概要

最終年度にあたる今年度は、金融ネットワークだけでなく経済現象にも応用可能となる新たな情報拡散モデルの構築を主に行った。これまでの情報拡散モデルはネットワーク上の局所的な情報(取引先の破たんや友人とのコンタクト)の変化を通じて情報や現象が拡散していくモデルであり多くの金融危機や感染モデルのベースとして利用されてきたが、そこにグローバルな情報に基づいて行動する主体を導入し、拡散過程が定性的・定量的にどう変化するのかを解析した。
これまでのように局所的な情報を基に行動するノードをlocal nodeと呼び、大域的な情報に基づいて行動するノードをglobal nodeと呼ぶとすると、ネットワーク全体でglobal nodeの割合が変化することによって拡散過程が大きく変わることを示した。具体的には、ある程度のglobal nodeが存在する場合にはsaddle-node分岐と呼ばれる分岐現象が現れることを発見した。この分岐が存在すると、ネットワークの密度がある程度までは拡散が広がりにくい安定的な状況となるが、ある閾値を超えると急激に(不連続に)拡散が大きくなる。その程度はglobal nodeが存在しない場合に比べて大きくなることから、情報拡散を効率化したい場合を考えればglobal nodeがある一定程度いることが望ましいことが示唆される。
また上記のテーマに加えて、今年度はネットワーク上の重要なノードをいかに効率的に抽出するかという問題にも取り組んでいる。これらの研究が進むことで、金融ネットワークをはじめとする経済系ネットワークに対する理解が進み、より安定的なネットワークを維持するための政策的な含意も導くことができると期待される。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2015 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] Columbia University(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Columbia University
  • [雑誌論文] Trend-driven information cascades on random networks2015

    • 著者名/発表者名
      Teruyoshi Kobayashi
    • 雑誌名

      Physical Review E

      巻: 92 ページ: 062823

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.1103/PhysRevE.92.062823

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Cascades in multiplex financial networks with debts of different seniority2015

    • 著者名/発表者名
      Charles D Brummitt
    • 雑誌名

      Physical Review E

      巻: 91 ページ: 062813

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.1103/PhysRevE.91.062813

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [備考] HP

    • URL

      https://terukobayashi.wordpress.com/

URL: 

公開日: 2017-01-06   更新日: 2022-01-27  

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