研究課題/領域番号 |
25780204
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
柴本 昌彦 神戸大学, 経済経営研究所, 講師 (80457118)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 非伝統的金融政策 / 資産価格波及効果 |
研究概要 |
1. 資産価格データ及びテキストデータを用いた実証分析 日本銀行による金融政策決定会合日における為替レート・長期金利・株価の政策アナウンスメント及び総裁記者会見周辺の日中変化から「政策決定要因」と「コミュニケーション要因」を抽出し、それらの要因の資産価格に与える影響を分析した。更に、テキストマイニングの手法を用いて、それらの要因と特徴的なキーワードとの関係を分析した。 実証分析によると、金融政策決定会合日における資産価格の動きを特徴づけるには、「政策決定要因」と「コミュニケーション要因」という2種類の要因が必要であることを実証的に明らかにした上で、「政策決定要因」は長期金利に持続的な影響をもつものの株価・為替レートへ与える影響が限定的である一方、「コミュニケーション要因」は株価・為替レートに持続的な影響を持つことが分かった。更に、「政策決定要因」は政策決定の詳細な内容や政策目的に関連する変数(生産や物価)の経済見通しに関するキーワードと強い関係性があるものの、「コミュニケーション要因」は当該政策の意図や選好(景気をより重視する等)に関連するキーワードと強い関係性があることが明らかになった。 2. 実証研究の報告 上記の実証分析結果を下にして、大学・学会等において研究報告を行い、討論者等から貴重なコメント・知見を得ることができた。 3. 論文`` Empirical Assessment of the Impact of Monetary Policy Communication on Financial Marketを作成中
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度において、研究計画の1つ目の実証分析である日中データを用いた金融政策効果の抽出を行い、有益な実証結果を得ることができた。更に、それらの研究結果を国内外の学会等で報告を行い、当該分野の研究者から相応の評価を得ることができている。更に、それらの研究成果を国際査読付き学術雑誌へ投稿するための論文作成を既に始めている。これらの平成25年度に遂行された研究実績は、概ね年度初めに提出した研究計画に極めて整合的である。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に沿った形で研究課題を遂行する。 ①平成25年度に行った実証分析を下に国際査読付雑誌に投稿するための学術論文を作成する。更に、国内外の学会やセミナーで論文報告を行う。 ②様々な資産価格の日次データセットを作成し、金融政策が資産価格に与える影響を分析する。 (i)非伝統的金融政策下の資産価格への金融政策効果に関する理論・実証研究の論点整理(ii) 長期・短期金利、株価・為替レート・社債といった資産価格の日次データセットを作成(iii)非伝統的金融政策手段によって、どの資産価格に重要な影響を及ぼしていたのかを推定
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次年度の研究費の使用計画 |
国際学会での報告・参加ができず、海外旅費を使用できなかったため 平成25年度で行った研究成果を国際学会や研究機関等で報告するための旅費として計上する。更に、英文の質の低下を最小に留めるために英文校正費として使用する。
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