研究課題/領域番号 |
25780205
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 熊本県立大学 |
研究代表者 |
河西 卓弥 熊本県立大学, 総合管理学部, 講師 (20516992)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 非公開化 / MBO |
研究概要 |
本研究は、日本企業の株式非公開化行動を実証的に分析することを目的としている。大きく二つの目的があり、一つ目は日本企業の株式非公開化の動機の分析であり、二つ目は株式非公開化後の企業行動の変化の分析である。 日本企業の株式非公開化の動機の分析の一つとして、経営陣による企業の買収であるMBO(マネジメント・バイアウト)のうち、非公開化型MBOに焦点を当て、分析を行っている。まず、非公開化の動機と関連している買収プレミアムの決定要因を実証的に分析することで、その動機を探っている。先行研究で取り上げられてきた非公開化の動機に関する仮説を包括的に分析した結果、株式市場における過小評価の解消を目指すアンダーバリュエーション仮説が有力であることがわかった。過小評価された状態では、資金調達が困難になるだけでなく、敵対的買収の脅威にさらされることとなり、上場維持のメリットが小さくなると考えられる。 また、株式非公開化の動機の分析として、非公開化MBO実施企業と類似の特徴を持つマッチング企業をサンプルとした非公開化意思決定の決定要因の分析も行っている。これまで、マッチング企業の選定とそれら企業のデータ収集、実証モデルの検討を行ってきている。この分析により、より直接的に株式非公開化の動機を探ることが期待できる。 株式非公開化後の企業行動の変化の分析に関しては、非公開化型MBOの実施により、資産や従業員数の変化といったリストラが見られるのか、またパフォーマンスには変化が見られるのかを検証している。実証分析からは、資産や従業員の削減は確認されていない。また、事後的なパフォーマンスに関しては、業績の改善が確認されている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本企業の株式非公開化の動機の分析における、買収プレミアムを用いた分析に関しては、分析結果をいくつかの学会・研究会において報告を行った上で、成果をディスカッションペーパーとして公表している。 非公開化MBO実施企業とそのマッチング企業をサンプルとした非公開化意思決定の決定要因の分析に関しては、関連文献のレビュー、マッチング企業の選定、データ収集、実証モデルの検討を行ってきている。現在、マッチング企業の変更を行っており、それに伴いデータの追加収集を行う予定である。 株式非公開化後の企業行動の変化の分析に関しては、関連文献のレビュー、株式非公開化前に加え、非公開化後のデータの収集、推計を行ってきており、現在実証モデルの修正を行っている。
|
今後の研究の推進方策 |
日本企業の株式非公開化の動機の分析における、買収プレミアムを用いた分析に関しては、学会・研究会で得たコメントを基に修正を行っており、修正後に学術誌への投稿を目指す。 非公開化MBO実施企業とそのマッチング企業をサンプルとした非公開化意思決定の決定要因の分析については、マッチング企業の株価データの追加収集、実証モデルの修正を行い、夏休み中に研究会で報告し、実証モデルの確定を行った上で、学術誌への投稿を目指す。 株式非公開化後の企業行動の変化の分析に関しては、実証モデルの修正を進めた上で、秋季の学会での報告を経て、学術誌への投稿を目指す。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成26年度に追加的に収集するべきデータが発生する可能性があり、そのような支出への備えとして、次年度への繰り越しを行うこととした。 当初の計画通り、研究報告のための旅費、英文校閲費に使用する予定だが、追加的に収集すべきデータが発生した場合、その費用にも充てる。
|