日本企業の株式非公開化行動を非公開化型MBO(マネジメント・バイアウト)案件に焦点を当て実証分析を行った。企業の非公開化の選択には、主に株式公開の費用と便益のトレードオフが影響を与えており、リーマンショック後には、エージェンシー・コストの削減を目的とした案件が増加したことが明らかとなった。非公開化後の変化に関しては、売上高の成長が見られたものの、ROAなど他の業績指標の改善は観察されなかった。MBOのストラクチャーを考慮に入れた分析では、バイアウト・ファンドの関与の有無にかかわらず、経営の効率化がみられた。また、MBOにより負債依存度が高まった企業群では、企業規模の縮小がみられた。
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