市場分断の理論背景と途上国における不活性なR&D投資について明らかにすることが本研究課題である.第一に,リスク回避度,内生的生産性ショックおよび生産部門における市場統合から得られるスピルオーバー効果の関係を分析した.特に,危険回避度係数が高いときには,一意の市場分断均衡が存在し,経済成長と社会厚生に資することを明らかにした.次に選好ショックを伴うvariety expansionモデルを構築し分析した.リスク回避度が高いほど,R&D投資による財の種類の増大は,物価の下落を通じ循環的にR&D投資を減退させること,また,流動化コストや早期死亡リスクが高いほど,金融機関が成長に貢献することを示した.
|