研究課題/領域番号 |
25780208
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
豊福 建太 日本大学, 経済学部, 教授 (60401717)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | コーディネーション |
研究実績の概要 |
本研究では、債務者が発行する債務証書が決済手段としても用いられるような状況下で、債権者がどのように協調をするのか、さらに債権者の選好に関するショックが与えられたことによって、協調がどのように変化するのかを考えた。本研究ではまず、債務者が二人、債権者が二人いて、二つの債務証書が流通している状況を考えた。そして、あるショックによって、ある債権者が別の債務者の初期保有物を消費したいという選好を持つようになるときにどのようなことが起きるのかを考えた。それによると、このようなショックによって債務者たちはリスクを受けることになるため、消費水準が低下してしまうことになる。しかしこの状況下で、銀行が二つの債務証書を統合するような銀行預金を発行すると、債務者たちのリスクを軽減することができるようになるため、経済厚生が向上することを示した。これは、The 4th annual confeerence on management and social sciences (August 15-17, 2014, Singapore)において発表した。このように、債権者が複数おり、複数の債務証書が決済手段として機能している状況で、銀行預金などが各経済主体のリスクシェアリングを進める機能があるということを明らかにすることができた。また現在は、この議論を応用し、Freeman and Tabellini (1998)をもとにして、債権者間の協調が決済手段を通じてどのように進められるのかを、マクロモデルへと拡張した文脈の中で検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
決済手段との関係性については当初は考えていなかったため、新たな知識を得る時間がかかったが、新しい結論を導くことができ、更には学会方向を通じて今後の方向性も見えてきているため、現状ではおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、Freeman and Tabellini (1998)をもとにして、債権者間の協調が決済手段を通じてどのように進められるのかを、マクロモデルへと拡張した文脈の中で検討していく。agentがpreference shockを受けた時に、銀行預金などを通じた決済手段が提供されることにより、agent間のコーディネーションが促されることがある反面、決済手段を内生的に考えていることより、その供給量の決定に際してはフリーライドをするインセンティブが出てくる。そこから銀行預金というinside moneyの決定メカニズムや、銀行危機の新たなメカニズムについての検討をしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
ちょうど使い切ることはできなかったが、ほぼ適切に研究費を使用することができたと考えている。
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次年度使用額の使用計画 |
備品や消耗品なども含めて、適切に使い切ることを考えている。
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