本研究では、プレイヤーが一方で債権者として存在し、他方で債務者として存在しているような状況において、各プレイヤーの債権が他のプレイヤーの財などへの交換手段として用いられるとき、どのような問題が起き、それに対して政府などが何らかの制度を構築することが望ましいのかを理論的に検討した。実際には日常における交換過程のほとんどで、貨幣は交換手段(もしくは決済手段)として用いられている。しかし、標準的な金融理論では、債務証書など他の流動的な資産も交換手段として用いられうることを指摘している。そこで本研究では、交換手段として不換紙幣という貨幣を用いることの意義を、決済の経済学の観点から分析を行った。その結果、債務証書を交換手段として用いるときは、各プレイヤー間の所得水準が変動してしまうため、消費水準の平準化がなされないが、不換紙幣を用いることで所得水準は平準化し、消費水準も平準化することを理論的に示した。 本研究の成果は、以下の二つの学会での報告を行った。 ・Western Economic Association International (San Diego) 2017年6月``The benefit of common currency as a medium of exchange’’ ・日本金融学会(鹿児島)2017年10月``The benefit of common currency as a medium of exchange’’
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