本研究は当初は債権者の協調の問題により引き起こされる金融危機とというマクロ経済への影響を想定していたが、研究を進める上で、そもそも金融機関の流動性の問題が何によって起因しているのか、そもそもなぜ最も流動的な金融資産と考えられる政府紙幣が流通するのかを理論的に検討する必要が出てきた。そこで本研究では、貨幣の価値尺度や交換手段としての新たな意義を理論研究によって見出すこととした。本研究では、サーチモデルやOLGモデルを用いずに理論化し、貨幣が経済主体間の消費水準を平準化することを示した。また、貨幣が経済主体間の契約によって選択されることを示し、貨幣が内生的に経済に供給される仕組みを明らかにした。
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