研究課題/領域番号 |
25780210
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
袁 媛 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (40609773)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国有銀行 / イノベーション / リスクテイク / 資金調達 / 中国 |
研究概要 |
本研究の目的は中国における国有銀行からの資金調達が企業のイノベーション活動に与える影響を分析することである。平成25年度には、「中国の国有銀行は企業のイノベーション投資を促進しているか」について90年代から最近までの中国の上場企業のデータを用いて接近した。研究は計画通りにおおむね進めることができた。 具体的に以下の四点を中心に研究を行った。第一に、中国におけるイノベーション関連制度と国有銀行のイノベーション活動に対する投資の実態について調査した。第二に、資金調達、ガバナンスとイノベーション活動の生産性に関する理論研究と分析方法について研究した。第三に、購入した上場企業データを利用可能な形に丁寧に整理した。第四に、これらの整理したデータを用い、企業の規模、所属産業の特徴、所有構造の特徴などを考慮しながら、企業のリスクテイクの面から国有銀行が企業のイノベーション活動に与える影響を検証した。分析結果は、国有銀行の持ち株比率が高まることで企業のリスクテイク行動を促進する効果があること、中央企業が持ち分を増やすことでリスクテイク行動が少なくなる傾向があることが示された。前者については、国有銀行による株式保有を通じて債権者と株主の対立が緩和されている証左であり、後者は中央企業による株式保有が、中央政府の方針もしくは中央企業の経営者のキャリアコンサーンに基づくリスク回避であると考えられる。これらの分析結果に基づいて、研究論文のまとめを進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は「国有銀行は企業のイノベーション投資を促進しているか」を中国上場企業のデータを用いて接近することを目的としていた。データの整理は予想以上に時間がかかったが、これらの計画はほぼ順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度では、まず前年度に作業を行った国有銀行と企業のリスクテイクの研究論文を完成させ、日本金融学会で報告したのち、学術雑誌への投稿を行う。次に、企業レベルのデータを用いて、国有銀行からの資金調達と企業のイノベーション投資の効率性について、企業の特徴ごとに計量分析を行う。そのため、国有銀行からの資金調達の多寡によって企業のイノベーション行動の変化を考慮しつつ、イノベーションが企業のパフォーマンスを向上させたかについて分析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
①研究を行うために、書籍、コピー用紙、トナーを使用する必要がある。②論文を分析するための統計ソフトを購入する必要がある。③英文論文の校正、学会参加費、旅費、投稿費が必要である。 書籍、コピー用紙、トナー:10万円;統計ソフト:5万円;英文校正:6万円;学会参加費:6万円;旅費:30万円;投稿費:3万円
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