本研究の課題は、2000年代以降の日本企業を対象として、MBOによる株式非公開化が買収後のパフォーマンスに与えた影響について検証する点にある。より具体的には、ポストMBOのパフォーマンスに対し、MBO実施に伴う当該企業のコーポレート・ガバナンス構造の変化が与えた影響を中心に検討を行った。分析の結果、MBO案件トータルではパフォーマンスに対するポジティブな効果は検出されなかったが、MBOのストラクチャーを分割して推計を行ったところ、純粋MBO案件とバイアウト・ファンド関与案件では総資産回転率の上昇が、負債依存度が高まった案件では資産削減効果が観察された。
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