研究課題/領域番号 |
25780219
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
柳生 智子 慶應義塾大学, 経済学部, 准教授 (40306866)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 北アメリカ植民地 / 西インド諸島 / 奴隷貿易 / 大西洋経済 |
研究概要 |
平成25年度は、本研究に関連した内容の論考を「アメリカ史研究」に投降し、査読の結果受理され掲載された。本研究費取得以前から所有していた資料の分析を中心としたが、その内容は本研究の土台となる分析を含んでいる。論考は、植民地期サウス・カロライナにおける奴隷制社会の変化と貿易構造について、大西洋経済圏の枠組みの中で分析したものであり、植民地期アメリカ最大の奴隷反乱であった「ストノ反乱」を中心に据えて、その背景となった社会経済的変動を詳述している。ストノ反乱が発生した1730年代はアフリカでの奴隷供給地の変化、サウス・カロライナ植民地における奴隷貿易への各種規制、米貿易の隆盛と米作方法の変化などが起きた一大転換期にあたり、大西洋経済全体が影響を受けた。それは既に活発に行われていた西インド諸島と北アメリカ植民地間の貿易にも変化をもたらしたことから、本研究につながっている。論考執筆後、西インド諸島の砂糖貿易と奴隷貿易の関係、特に砂糖貿易額の変動が北アメリカの奴隷貿易やアフリカの奴隷供給地、ヨーロッパ諸国の奴隷貿易体制や奴隷商人の活動にいかに影響したかについて、各種文献、同時代文献の分析を進めており、平成26年度に論考にまとめる予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究のこれまでの研究進展は、平成25年度に研究代表者の妊娠・出産による研究の中断が生じたため、当初の計画より遅れている。特に、夏季期間中に予定していたアメリカおよびヨーロッパでの資料収集を実行できなかったため、主にこれまでに取得済みの資料や文献を用いて研究をまとめざるを得ない状況になった。現地調査には行けなかったが、新たに購入した資料・文献の分析や海外から資料を取り寄せるなどして、国内で可能な限りの研究を進めた。また、平成27年に予定されている京都での国際経済史学会については、当初の予定通りアメリカの研究者と連絡を取り合って研究協力を続け、共同パネルの申請を行っている。
|
今後の研究の推進方策 |
平成26年度も産後間もないため海外調査を断念するが、産前産後休暇による科研費の1年延長を申請し認められたことから、平成27年度、28年度には海外調査を計画している。今年度は国内での調査を継続すると同時に、論考の執筆と国内での学会・研究会発表を中心に研究活動を行う。平成27年度に予定している国際経済史学会の準備も継続する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は妊娠・出産に伴う産前産後休暇を取得したため、当初予定していた海外現地調査や国際学会での発表を断念した。その分、実支出額が減り、次年度以降に使用することになった。 産前産後の休暇又は育児休業による中断の申請を行い、研究計画の1年延長が認められた。平成26年度は産後間もないため海外調査の予定はなく、国内での研究活動に専念するが、平成27年、28年度は海外調査及び国際学会での発表を予定している。海外研究協力者との研究は予定通り進めており、本研究終了時には学会報告及び論文集の企画まで進めていく予定である。
|